「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(略称 青少年インターネット環境整備法 / 通称 青少年ネット規制法)が、11日の首相問責決議のどさくさに紛れて成立した。内容の評価をしようと思ったのだが、それ以前の問題に嵌まってしまった。
こちらの法文を読んでみると、用語の定義を行っている第二条に、
3 この法律において「青少年有害情報」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう。
とか、
5 この法律において「インターネット接続役務」とは、インターネットへの接続を可能とする電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。以下同じ。)をいう。
6 この法律において「インターネット接続役務提供事業者」とは、インターネット接続役務を提供する電気通信事業者(電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)をいう。
7 この法律において「携帯電話インターネット接続役務」とは、携帯電話端末又はPHS端末からのインターネットへの接続を可能とする電気通信役務であって青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものをいう。
8 この法律において「携帯電話インターネット接続役務提供事業者」とは、携帯電話インターネット接続役務を提供する電気通信事業者をいう。
9 この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)をいう。
10 この法律において「青少年有害情報フィルタリングサービス」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するための役務又は青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによって青少年有害情報の閲覧を制限するために必要な情報を当該青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させる者に対してインターネットにより継続的に提供する役務をいう。
11 この法律において「特定サーバー管理者」とは、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバー(以下「特定サーバー」という。)を用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者をいう。
12 この法律において「発信」とは、特定サーバーに、インターネットを利用して公衆による閲覧ができるように情報を入力することをいう。
等々とあるのだが、肝心のインターネットが定義されていない。
なんとなく、ウェブ(WWW)のことを指しているようにも感ずるのだが、勝手に解釈してはいけないだろう。ということで、衆議院調査局第一特別調査室(青少年問題に関する特別委員会担当)に電話して聞いてみた。この法文にインターネットの定義はいらないのか、あるいは他の法律ですでに定義がなされているのか、、、
幸いに質問の趣旨をすぐに察していただくことができ、折り返しお返事をもらうことになった。しばらくしてメールで以下のような回答が返ってきた。
1.「インターネット」を定義した規定を持つ法律はない。
2.「インターネット」を定義しなかった理由は、
すでに法律上、一般的に使用されていること
日常的に使われている語と法律上使用される語について、意味と範囲に差異がないこと
とのことで、衆議院法制局に確認をとって頂いた回答とのことだった。なお、対応頂いた方は鋭い人で、
本法律の「インターネット」の語が、インターネットの技術的特性などを的確に捉えていない、あるいは範囲が明確でないとの趣旨でのご質問と推察いたしますが、
と理解を示してくれたが、
委員会においては、参考人として、インターネット協会や携帯電話事業者の方をお呼びして、ご意見を伺っております。参院においては、マイクロソフト社から参考人をお呼びしたようです。
とのことだった。
さて、上記法文において、日常的に使われている語としての「インターネット」がウェブのことを指しているのであれば、問題はウェブに限定される。委員会審議において、衆議院では携帯電話事業者に、参議院ではマイクロソフトに参考人として意見を聞いたということなので、やはり「インターネット」=「ウェブ」のような気がしないでもない。
しかし、衆議院の委員会審議においては、(財)インターネット協会も参考人で意見を述べているとのことだし、念のため衆議院法制局に電話してみると、こちらも丁寧に対応いただき、「定義しようとすると難しくなってしまいますね。この法律では社会通念上インターネットとよばれるものすべてを含むという解釈になるでしょう」とのことだった。(なおインターネット協会にもインターネットの定義を問い合わせ中)
さて、「社会通念上インターネットとよばれるもの」とは、、、それによって、法律への対応が違ってくるはずだが、、、インターネットって何。
6/15追記
私の解釈におけるインターネットは崩壊しているのでどうでもいいのだが、この法律でいうところのインターネットがウェブじゃないとすると、それ以外も含む「青少年有害情報フィルタリングサービス」ってあるのだろうか、、、実は衆議院法制局にウェブ以外も含むのかと聞いた結果が「社会通念上インターネットとよばれるものすべて」との見解なのでその実効性が気になるところ。(奥村先生のblogに紹介されたので念のため)
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青少年有害情報->インターネット崩壊論
第二十一条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならない。
さてさて、青少年による閲覧ができないようにするための措置をとらねば、、、
ED.JP からの接続を拒否するくらいじゃだめかな。
google からの接続を拒否するための措置をとらねば、、、
大丈夫。google はその利用規約で未成年の利用を禁止(参考 http://ymiwa.exblog.jp/8446796/ )していますから。;-)
ただ、Google も 利用規約だけじゃだめでしょうね。「青少年閲覧防止措置」をとらないと。;-)
利用規約じゃだめ。「閲覧ができないようにするための措置をとるよう努めなければならない。」:)<br>努めれば。努めていれば。....
努めればいいから,努めたと言えるものを残しておけば,言い訳できると.<br>初めて見た瞬間,免罪符を与えたい法律に見えました.<br>数年前に試行された,愛知県青少年保護育成条例と同じ発想.<br>駄文です.
青少年ネット規制法では「iPhone想定してなかった」と総務省の人<br>http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2008/11/28/21693.html