トップ «前の日記(2013-04-02) 最新 次の日記(2013-04-30)» 編集

インターノット崩壊論者の独り言


EPIC2014
Google Public DNS (8.8.8.8, 8.8.4.4) 経由では本サイトにアクセスできないよう措置させて頂いております。

2013-04-12 再戦です

一般社団法人JPNICを訴えました

このたび一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター (JPNIC) を相手取って裁判をはじめることとなりました。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。(以下、以前のブログの改訂)

JPNIC は平成23年8月31日に規約を一方的に変更し、我々中部アカデミックネットワーク(や多くの歴史的PIアドレスやAS番号の利用者たち)がそれに同意していないにも関わらず平成24年度から(JPNICができる前から使われていたものも含む)歴史的PIアドレスやAS番号に対して維持料を課すことを決め、平成9年に東海地域のネットワークの相互接続のために割り当てを受けた AS7520 にも昨年4月から維持料を請求してきました。これを無視していたところ年14.5%の延滞利息まで請求をはじめ、督促の電話も入るようになり、ついに内容証明の請求を送付するという電話が入りました。これは裁判を辞さないということですので、それではと先手を打って昨年10月22日(月) に債務不存在確認請求の裁判を起こしました。この裁判では中部アカデミックネットワークという任意団体に裁判を起こす適格性が不十分との判断から代表者個人で訴えたのですが、逆に中部アカデミックネットワークには十分適格性があり、代表者個人には適格性がないということで却下の判決を3月14日に頂きました。これを受けて今回、中部アカデミックネットワークとして改めて東京地裁へ訴えをおこさせて頂きました。(本日訴状を郵送)

本当は私の勤めている大学の歴史的PIアドレスへの課金について争いたかったのですが、大学を原告にするのは困難でしたので、中部アカデミックネットワークの管理するAS番号で争わせてもらいます。全国の歴史的PIアドレス管理者の皆さんの多くも、その立場の弱さから忸怩たる思いで高額な課金を受け入れたと思います。あるいは歴史的なPIアドレスを返却あるは売却してしまった組織もあるようです。JPNIC に対しては「学生たちからグローバルIPアドレスを取り上げないでくれ」と訴えたのですがそうした声は無視されましたね。そうした思いを背に中部アカデミックネットワークが代表して JPNIC と戦い抜きたいと思います。

訴えの要点は以下の通りです。(昨年度の裁判と同じ)

  1. 本規約第10条の規約変更権条項は信義則に反し無効であること
    「当センターは、事前の通知なく、本規約を変更または新たに定めることができる」などという規約変更権条項を有料化(維持料請求)が一方的に可能であることの根拠としていますが、このような条項は信義則に反し法的に無効でしょう。これが認められるならば、無料のオンラインゲームをある日突然有料にすることも可能ということになってしまうのではないでしょうか。(どうもそのような事例を争った判例はないらしく、今回の裁判は判例を作る重要なものとなりそうです。)

    以下、訴状より

    契約当事者は、契約内容を変更する旨の新たな合意をしない限り、契約締結時の契約内容に拘束される。これは、私的自治の原則から現行法上当然に認められる権利義務状態である。この大原則に反し、規約作成者たる被告のみに、規約内容、すなわち契約内容を変更する権利を認める条項は、一方的に契約内容の変更を受ける原告の契約上の地位を著しく不安定にし、また、原告に一方的不利益を課すものであるから、規約変更権条項自体、信義則に反し無効である。 したがって、被告は本規約第10条を根拠に規約を変更し維持料を請求することは許されない。
  2. 維持料の支払は契約の根幹に関わる事項であること

    以下訴状より

    被告の請求する維持料は、原告に対し、原被告間の契約締結当時には存在しなかった新たな負担を課すものである。また、維持料の負担の有無は、契約の根幹である「対価」に関する事項であり、まさに契約の核心部分である。 このような契約の根幹部分についてまで他方当事者である被告により一方的に変更され、契約締結当時には存在しなかった対価の負担を甘受しなければならないとするならば、原告の地位は著しく不安定なものとなることは明らかである。 したがって、被告が本規約第10条を根拠に規約を変更し、原告に契約の根幹である対価たる維持料の請求をすることは許されない。
  3. 被告が規約を変更し維持料を請求する合理的理由はないこと
    ほとんど変動のない AS 番号の台帳管理への対価として JPNIC が高額の維持料を請求する合理的理由がありません。

訴状では論点を絞った方がよいと考え、規約変更の不当性を論点としています。しかし、本当に訴えたいのはその背景にある JPNIC の非民主的な運営です。今回の不当な課金についても、当初は当事者への説明会すら開催を否定されたりしました。その他ここでくどくどとは述べませんが、多くの方々(特に学術や地域ネットワークの方々)にはご理解頂けるものと思っています。

一方で「インターネット」の問題はインターネットのコミュニティで解決するのが筋だとおっしゃる方も多そうですが、そんな自律分散協調のインターネット幻想はすでに崩壊しているのです。「インターネットはインフラだ」などと言いつつ、幻想を語るのはおかしいでしょう。インフラだというのならなおさら法の下で民主的に活動を行って欲しいですね。市民から見えないところでISPの技術者たちだけで勝手なことしていないで、すべてのネットワーク利用者がステークホルダーとして参加し議論できる場を設けて欲しいものです。



追補:参考までにこういうやりとりもありました。

From: "T.Suzuki"
To: ip-users
Reply-To: ip-users
Subject: (JPNIC-IP-USERS 1857) IPアドレス事業料金体系見直しについて
Date: Tue, 27 Apr 2010 09:08:41 +0900
 
「IPアドレス事業料金体系見直しに関するご意見募集について」
 
というメールをJPNICさんから何通か受け取り、たった1週間の期限で意見を
求められているところです。(明日締切り)
 
これに答えるにあたって、いろいろ疑問があります。
とりあえず以下の2点、わかる方がいらっしゃいましたら教えてください。
できましたら、意見提出までの期間が短いこともあり、今日中に知りたいと
思います。
 
1. 参考資料のなかに、レジストリシステム追加開発計画概略として、
 「逆引きネーム サーバへの DNSSEC対応」約18,000千円
 というものがありますが、逆引きをDNSSEC対応とすることについて、その
 必要性がまったくわかりません。DNSSECに逆引きの信頼性を担保する機能
 はないと理解しています。
 どなたか約18,000千円かけて開発(運用費用はまた別ですよね)する必要
 性を教えてください。
 
  参考資料「IPアドレス事業料金体系見直しについて」
    (第25回 IPアドレス管理指定事業者連絡会資料)
    http://www.nic.ad.jp/ja/materials/ip/20100325/fee.pdf
 
2. IPアドレス管理指定事業者には説明会が開かれているようですが、事業者
 以外で、今回の見直しに関係する方面(歴史的PIホルダーやASやPIの割り当
 てを受けている任意団体や個人など)への説明会は開かれないのでしょうか。
 
-- 
-----------------------------------------------------------------------
T.Suzuki / E.F.シューマッハーとI.イリイチを読もう

1. については回答なし。(いまだに)
2.については、当時、JPNICさんから以下の不誠実な回答を頂きました。

> 2. IPアドレス管理指定事業者には説明会が開かれているようですが、事業者
>  以外で、今回の見直しに関係する方面(歴史的PIホルダーやASやPIの割り当
>  てを受けている任意団体や個人など)への説明会は開かれないのでしょうか。
>  (とりあえず先ほど事業者向け説明会に申し込んでみました)
 
現在のところ、説明会等の開催は予定しておりませんが、料金案が決定
しましたら、電子メールなどでのご連絡を予定しております。
本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]
tss (2013-10-28 12:05)

不当判決を受けたため、控訴しました。http://www.e-ontap.com/blog/20131022.html


最近の日記

2008|04|05|06|07|08|10|11|
2009|02|03|04|06|07|09|10|11|
2010|01|03|06|09|10|11|12|
2011|01|02|03|05|06|07|10|11|
2012|03|06|07|10|11|12|
2013|02|03|04|05|06|08|09|10|11|
2014|01|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2015|01|02|03|04|07|08|09|10|11|12|
2016|01|06|08|12|
2017|03|07|08|09|12|
2018|04|08|10|11|
2019|01|02|07|11|12|
2020|01|02|03|05|06|07|08|
2021|02|03|09|12|
2022|02|03|05|06|
2024|02|

リンク

Copyright by T.Suzuki