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コンヴィヴィアリティ
産業主義的な生産性の正反対を明示するのに、私はコンヴィヴィアリティという用語を選ぶ。私はその言葉に、各人の間の自立的で創造的な交わりと、各人の環境の同様の交わりを意味させ、またこの言葉に、他人と人工的環境によって強いられた需要への各人の条件反射つけられた反応とは対照的な意味を持たせようと思う。私は、コンヴィヴィアリティとは、人間的な相互依存のうちに実現された個的自由であり、またそのようのなものとして固有の倫理的価値をなすものであると考える。
(中略)
技術官僚支配がもたらす災厄にかわる選択として、私はコンヴィヴィアルな社会のヴィジョンを提案する。コンヴィヴィアルな社会が実現できるとすれば、それは、もっとも十分にかつもっとも自由に地域社会の諸道具を利用できる機会を各成員に保証し、しかもこの自由を他の成員の同等の自由のためにのみ制限するような社会的配置の結果であろう。
「コンヴィヴィアリティのための道具」第二章より
イヴァン・イリイチ,渡辺京二/渡辺梨佐訳,日本エディターズスクール出版部